臨配くん物語 #78 鬼畜【新連載】

あれほど自分が九死に一生の状況で泣きつき手を差し伸べてくれた大輔に対して、おちゃらけてそしておちょくる感じで【金は借りてない】と宣った小竹。

もちろん借用書を取らなかった大輔を責めることはできるのだが、二人の間にある無音の信頼のパスがあえて借用書を取り交わさない粋さをチョイスしたのであってその粋さすら踏みにじるとあらばその所業はすでに鬼畜と呼ぶにふさわしい。

大輔はこのとき、先程感極まり言いたいことすべていい終えたときに目にたっぷりとこしらえた涙粒のそれらはこの小竹の人の心が至らすに余りある傍若無人、野蛮な畜生っぷりにとうに引っ込んでしまい、むしろ乾きかけている。

しばらくは無言で、そのショックを自身の中で整理して途方にくれかけた大輔だが、やがて彼のなかなりの答えみたいなものを見つけたのか小竹に対して何かを言わんばかりの目つきに変わっていた。

「俺ははっきり言うけどな…150万近くの大金を使い込んじゃいねーし、さらにはお前に埋め合わせてもらった覚えはねぇ…それにこの女だって知り合って浅いいわば割り切りの延長みたいな関係さ!かっかっかっか」小竹は物証がないのをいいことに自分の今後に最大限有利な御託を並べている。

その時だった!ついに大輔が重い口を開いた。