臨配くん物語 #86 大輔…劣等感について考察する【第2章 大輔、臨配やるってよ】

相変わらず脇関が大輔を臨配・代配業界から弾き出そうと小言を言い続けている…資本主義経済が発展してきたのは自由競争というものがあってこそなのだが、学のない脇関にとってそんなことよりも既得権益を守ることが本人の第一優先になり、仕事やサービスの本質の追求(利益の追求ではなく需要の追求)など意識できるほどの知見があるわけもない。

大輔は退屈な脇関の小言を右から左へ聞き流し、なぜこの人は自分をコントロールすることをせずに他人に干渉し執着するのか…人の心を成立させている自尊心について書いてある書籍で読んだことを思い返していた。

「ヤンキーがガンの飛ばし合いだけでなぜあそこまで、言い争いをし挙げ句の果てには殺し合いに発展するのか…」この説明を読んだときのことを思い出すと脇関の行動の心理と合致する。

「ヤンキーにとって、虚勢をはり周りから恐れられることで本来であれば劣等感が故にヤンキーであるという見返りを、自尊心として得て自我を成立させている」

「しかし、ガンを飛ばされるということは相手は自分を恐れてはなく、いままで精一杯成立させてきた脅威の存在であるという自我の根底を揺るがす事態であり、それは生命の次に大事な自尊心をボッキリへし折られてしまう出来事なのだ…故に殺し合いにまで発展する。」

「自尊心はそもそも誰もが持っているが、その成立方法に違いがあって自分で自ずと成立させられる人間は他人と比較することなく地消地産で自分の内面のみで絶対値的に生み出すが、自力で成立させられない人間は他人を中傷し、対象の価値を自らの行動で低く査定されるようステイタスのコントロールをすることで相対的に自分の自尊心を上げていく…週刊誌などで普段から羨望している芸能人の不幸をみる慣習はつまりこの自尊心の相対的なコントロールができることから人の不幸は蜜の味となりやまない悪癖となっているのだ」

大輔は脇関の小言が終わるまで黙々とそんな思考を巡らせていた。