代配ちゃん物語 #44 茉莉花にとっての黒歴史【新連載】

おそらく、徳俵も自分の致した一連の不手際を詫び誠実にことのケツを拭いたのであれば、所長も捲ってしまうことはなかったのだろう…黙っていれば知られることのないという浅やかな取り繕いによって大きな二次災害を起こすことになってしまった徳俵は、その週の終わりに5年努めた販売店を退所した。

徳俵の入っていた部屋の掃除に訪れた専業は徳俵について惜しむような話を茉莉花に話しながら、フローリングに雑巾がけをしている。

それを惨憺たる雑念混じりに聴いていた茉莉花は…思えば学業を究めんと勇み志崇高に掲げ門をたたいた社会の扉。その煌めく門出に大きな心の傷を携えてしまったことでその後の奨学生としての生活に消しえない黒歴史として刻印してしまったことを窓を拭き上げながら後悔していた。

「私…このままではいけない…」茉莉花はそう心に決心して徳俵のいた部屋を綺麗に磨き上げそこをあとにした。