
しばらくして大輔と凸賀は、小竹の住むアパートの入り口に到着した。築30年は経っているだろうアパートは鉄の支柱はサビ果てて、塗装も剥がれ落ちている。
以前、臨配のおじいちゃんが小竹にあげたほぼ新品のヘルメットもホコリをかぶりドア前に転がっている。
ドアの前に立つと大輔はおもむろにドアを数回ノックした。中には人の気配はない。電気のメーターも冷蔵庫など最低限の使用で回るスピードでしか進んでいなかった。
何度もドアをノックしたが反応はない…仕方なく凸賀は店からもってきたスペアキーでドアの鍵を開けるとサビついたドアを金属が悲鳴をあげるようにこじ開けると…そこには家具1つない殺風景な部屋が視界に広がり、一通の置き手紙が置いてある。
「大輔へ…すまん!限界だ。失踪すること勘弁してくれ」
そう、小竹は店の集金の精算もせず、大輔から埋め合わせるために融通してもらった150万をもってどこか遠く、田園なのか大都会なのかわからないが失踪してしまったのだ。
