
唐突な多鶴子の誘いに本来であれば迷うことなくのるであろう大輔も、このときの酒量はまさに酒池!毎回、新規でボトルを入れたいがために多鶴子はほぼ25%のアルコール濃度のものの2㍑はあろう量を空になるまで大輔に煽ってくるからだ。
店を仕切るママが看板の電灯を消すと店のスタッフの女の子たちも店内の掃除を手短に片付け、荷物をもってそそくさと帰宅モードに入る。
大輔も同じ店内にいた常連さんに肩をかり、店じまいをしている女の子に邪険にされながら外に追い出された。深夜4時の駅前ロータリーはまだネオンが残り、今夜この街で起きている祭の残り香と、きたる夜明けにむけリセットされつつある喧騒との絶妙な混ざり具合で独特の余韻を醸し出していた。
もう見てる景色すら歪むほど泥酔してる大輔がふと、肩をかりた常連から解放させると目の前には私服に着替えた多鶴子が店前にインテリアとしておいてあるベンチに腰をかけて大輔のことをまっていた。
「いこっか♡」
大輔はこんどは、多鶴子に肩をかりてスナックをあとにした。
