多鶴子の部屋に通され、とりあえず痛めつけた肝臓を癒やすべくお手製のスムージーを振る舞ってもらい一緒にストローでチューチューと音をたてながら、雑談に華を咲かせながら深夜から朝方に突入するテンションで大輔と多鶴子はイチャイチャとも呼べる雰囲気だった。
やがて、ふたりは互いに明け方の静寂も手伝ってか少しづつ眠気もでてきたのか言葉数もごく僅かになり、身体の距離も心なしか近くなり今にも触れそうなところまで接近していた。
数分間の沈黙のあと多鶴子は目を閉じていた…これは寝落ちを理由に大輔に送るサインにしているのか、はたまた単純に寝落ちしただけなのか…ウブな大輔はその真意がわからぬままどうしたらいいのかしどろもどろして、ぎこちなく多鶴子を抱きすくめようとしたその時だった。
大輔の視界にふと飛びこんできたのは、なんとなく見覚えのあるパーカーだった。大輔はそのパーカーをどこで見たのか!?また誰が着ていたものなのか!?酔いが覚めかけの脳内で何度も何度もグルグルと回想していた。
やがて、その妙な間に気がついた多鶴子がふと目を開けた。その間抜けな所作の照れ隠しなのか、大輔はまたあたふたとスットンキョウな動きで動揺を隠そうとした。
多鶴子は、その不自然さに大輔に言葉をかけた。「どうしたの!?」「あ、あのパーカーどこかで見たことがあるんだよね…」大輔はそう答えた。
その時、今度はうってかわって多鶴子のほうがぎこちなく落ち着きのない形相で動揺していた。
