多鶴子の部屋に無造作に置かれたパーカー…大輔はそのパーカーの存在にふと気をとられなぜか初見ではないという直感から、せっかく多鶴子といいムードであったにもかかわらず回想の世界にしばし入り浸った。
ほどなくして、そのパーカーは小竹がトンコウして代わりにきた新しい臨配の山口が土砂降りの朝刊のあとに着替えていた、◯◯臨配センターのロゴ入りのものであると大輔の脳裏にフラッシュバックした。
「ん?でもまてよ…なぜそのパーカーがここにあるのだ!?」大輔は不思議に感じて小声でその疑問を自分に問いかけるように復唱した…その時!!
「あ!まてよ!!確か小竹さん…専業になる前に臨配だったって言ってたような…」大輔はここにきて大きな分岐点になることを思い出した。そしてちょうど首の裏にあるタグに名前をかならず書く小竹の癖を思い出した瞬間…大輔は無意識にそのタグに手を伸ばした。