
店外の空気を吸い終わり中に戻ると、テーブルにうつ伏せになって酔いどれている多鶴子がそこにいた。
「ただいま…」この頃になると先ほどあったぼったくり劇などもうどうでもよくなっていた小竹だった。酔い雪崩れるようにテーブルにもたれる多鶴子の愛くるしい姿が小竹をそうしたのかもしれない。
「そんで?臨配さんが時間あるからゆえになにが起きるの?」目を覚ました多鶴子は酔いすぎてはいたが話の筋はまだ覚えていてその話の続きを小竹に催促した。
「その話…まだ聞くか!笑」小竹は続けた。
「臨配は先ほど言ったように、いつそこでの仕事を上がるかわからないがゆえに高給であるのは言ったよね?そんでさらに時間が有り余るんだ!…有り余った時間はなにすると思う?」
「うーん、お酒飲みに行っちゃうとか?」多鶴子が続けた。
「惜しい!けど間違いではないよ…臨配は相当にお金を貯めるという強い意志がない限り持て余した時間をパチンコやパチスロ、競馬や競艇などにつぎ込んじゃうことが多いんだ!家賃はタダで光熱費も販売店もち…極め付けは給料は毎週土曜日にもらえるもんだから10000円ほど残せばスッカラカンになってもどうにか1週間生活できる」
「これが臨配が陥りやすい最も大きな罠なんだよ!」小竹は得意顔で多鶴子の方を振り返りつつ決めゼリフ的に言い放ちテーブルに横たわる多鶴子をちらりと見たが…もうすでに多鶴子は寝息をたてて眠落ちしていた。