「小竹さんが借金まみれになっていったのにはまだ理由があって…」多鶴子はそれはまるで小竹が自分に貢いでることが本件の最も主たる原因ではないかの如く言い訳じみた話を続ける。
「小竹さんはスナックで40万を支払ったあとにまだ集金カバンにはお金が残ってて、私と朝方まで寝て起きてからその足でパチンコに一勝負をかけにいったの…でも結果は有り金すべてを吸い取られてしまって」
「それにしても総額50万ほどで食い止められていたのでは?」大輔は素朴な疑問を口にした。
「人って負けてるときの冷静さにかけた行動、負けてるときの脳内麻薬には逆らえないというか…いままでギャンブルはすれど絶対に集金カバンには手をつけなかった小竹さんだったんだけどこのときの目はまさにギャンブルに狂った人みたいになってたの」
「もうすでに50万ものお金を使い込んでいて、もう戻れないっていう連鎖が地の果てへの片道切符になっていたというか…その足で健康保険証もって闇金にかりて次の日もその次の日も競馬にいったの」
「あ!たしかに店にいきなり親戚の法事だといって連休をとった日があった!それがもしかして!!…それで結果は?」大輔の中ですべてが繋がり始めた。
「もちろん…」多鶴子は首を横にふった。
小竹はこの出来事のあとにちょうど大輔から150万ほど融通してもらっていた…そして当の大輔も小竹の足取りを追う中で多鶴子にハマりかけすでに貯金は底を尽きかけてしまっている。
「それで…小竹さんはいまどこに?」大輔はことの核心にせまった。
