
時刻は0時をゆうに回っていた。
明朝の朝刊は、茉莉花はまだ順路をつけている段階なのでもちろんまだ配達はなく、順路取りの続きが昼からあるだけで深酒すること自体には特に問題はなかった...徳俵も次の日の昼に茉莉花の順路取りをとればOFFになっていたので心置きなくレモンサワー祭となってしまっていた。
そんな事情も手伝ってか、二人はとうにグラスにして20杯はレモンサワーを空けており、いよいよ茉莉花も徳俵も呂律は回らず、目の前がユラユラと幻覚が見える状態にまで酩酊していた。
やがて焼肉屋の店員たちは閉店に準備にかかりコンロの炭を消したり、暖簾をしまったりいそいそと始めていた。
茉莉花の顔は真っ赤にしてぷっくりと頬はパンパンになっており、気も緩んだのか壁にもたれかかってふつうに話す喋り方もなんのわざとさもなく猫なで声になっていた…その茉莉花の猫なで声の彩りを耳にいれ、徳俵の中で何かが弾けてしまった。
「茉莉花ちゃん…このあと少し俺の部屋で呑もうか…」…徳俵は酔った勢いもあってか、禁断にして悪魔のカードを切ってしまったのだ…