
専業からかかってきた電話によると、今朝の朝刊で一人とんだとのことだった…しかもとんだのは臨配のようだ。
通常、販売店には【手空き】という人間がいて、怪我やとんだときの為にすぐ配達できる要員としてスタンバイしている人間がいる…最近は人不足、人件費の削減のため【手空き】がいないまでか店長含む社員の総動員で週一の休みもままらない稼働状況の販売店も珍しくない。
「やってしまった!!」突然、徳俵は叫んだ。
徳俵は妙なところは真面目で、手空きのときはいつも、酒を一滴も飲まずいつもノンアルコールビールで我慢して待機していた…がここ最近、ずっとこういったトラブルがなかったのと茉莉花との宴が楽しくて手空きであるのに泥酔するまで酒を飲んでしまった…
しかも、今日みたいな場合、手空きである徳俵が配達に出ないことには穴の空いた区域を配る人がいなくなり新聞が届かないという事態になるのだ。
「このまま、泥酔がバレることなくしかも無事故で配り切るしかない!」徳俵は全身から黄色にも見えそうな勢いの脂汗をかきながら泥酔のまま配達することを心に決め、ある意味腹を括っていた。
