
いよいよ時間も差し迫り、1分でも早く朝刊配達が間に合わなくなるプレッシャーの中カブにまたがり出発した徳俵。
出掛けに、部下であるが同系列の販売店でのキャリアが自分より長い専業に飲酒について釘をさされた…もちろんもし飲酒で検問にでも引っかかったり事故でも起こそうものなら首をつる勢いで責任問題になることは重々自覚している…
それもこれも、手空きという完全に休みの立場ではないのに茉莉花とのひとときを酒びたりで過ごすといった享楽に興じたことが原因ということもまた心得ていた。
もともと徳俵は配達が早くミスも少ない専業として系列店では有名であり、その技量で店長までのし上がった経緯がある…この日も遅配という苦情こないスピードでどんどん朝刊をポストにねじこんでいく。
酒を飲みすぎているせいなのか、はたまた爆速で配達しているせいなのか、徳俵の体温はうなぎのぼりに上がりその温度はサハラの砂漠であるかのようなところまで上昇している…ヘルメットは前カゴに放り込み、深夜の夜風を顔面全体で受け止めながら滑走していた…
右手でアクセルを全開にし、左手で次の家に入れる新聞を抜きながら路地を左に曲がる…その時だった!!!前方にきらびやかに、目にけたたましいくらいうるさい赤色灯が徳俵の目に飛び込んできた…