
「新聞屋さん!ちょっとすいません!!」警察官が小路地を曲がったいかにもいまかぶりましたといったヘルメットをぎこちなくなおす徳俵に近づいてきた…
「や、や、や…やっちまった…」徳俵はいままでたったの一度も飲酒で捕まったことはなかったのによりによってこのタイミングで…走馬灯のようにこのあとの展開や処分、ほかの社員たちにかけてしまう迷惑などが脳裏を駆け巡った。
いよいよ徳俵の脇に小走りでたどり着いた警察官は開口一番
「いまここらへんで通報があってね…絶叫しながら通行人に片っ端から【ここらへんにオカマクラブありますか?】って話しかけてくる男がいるって情報寄せられたもんで…新聞屋さんここらへんで見なかったですか?」
警察官やおまわりさんは、なにか取り掛かり中の案件があるとノーヘルや微罪などに優先して本件に付ききるのでスルーされることがある…ましてや新聞屋がヘルメットをかぶらないとか、飲酒の可能性があるといったものはもっとも目こぼされやすいものである…
「み、み、み、そんな男はここらへんでは見なかったですね…」徳俵はありったけの冷静さを保ちそう切り替えした。
「そうでしたか!ご協力ありがとうございました!」そうゆうと警察官はパトカーに乗り込み徳俵についてはなにも調べずにいってしまった…このときあまりに安堵したのかガクガク震える両膝を両掌で鷲掴み命拾いしたとしばらく目をつむりホッとしたその安堵を噛みしめる徳俵だった。
