
店に戻った徳俵は以外にも遅配の連絡はなく、普段となんら変わらない様子の店内をみて一安心していた。当番の新人も漫画を読みふけり、臨配がとび、その区域が大幅に配達が遅れたなんて事実がまるでないようであった。
その状況をみて安心した徳俵は、残った新聞紙をポンと棚に置き、何事もなかったように自分の部屋に戻ろうとしたときだった…
「プルルルルルゥ〜…プルルルルルゥ〜」けたたましく店の電話が鳴り響いた。当番だった新人が受話器を取ると…どれくらいの時間であっただろうかその新人が◯◯新聞ですと告げてから受話器越しからリアクションがあるまで1分や2分はあったかのように長い沈黙が流れた。
「誰だ?」
いてもたってもいられないくらい嫌な予感がした徳俵は、まだ受話器をもったままだというのにその新人に食い気味に相手が誰だかを訪ねた。
「あの〜…私見たんです…住人の方にも伝えようかなと思ってます…」