
LilyからLINEで改まってカフェに呼び出された大輔。開口一番に言わないといけないことがあると告白された大輔は、十中八九嫌なことにちがいないと腹を括っていた。誰でもかしこまり覚悟を求められる告白というのは脳天を突き破るようなショッキングな出来事にちがいないと身構えるものだ。
もうなんでもござれと全てのパターンを想定に入れて耳を傾けた大輔にLilyは語り始めた。結果から言えば大輔にとってそれは嫌な知らせの最上級のパターンではなかった。
内容でいえば、いまのベトナム料理店でのバイトでは学業と故郷に仕送りするためのお金が足りないこと、そのために少し不安だがもっと稼げる仕事にうつること…無垢なLilyのことだからそれは大輔に何かしらの援助や情けを求めているようには映らなかった。自力でやり遂げる旨の意気込みみたいなものを感じた大輔であった。
話が弾み、窓の外を見渡すともうすっかり日が暮れて真っ暗な暗闇がカフェを包み、車のライトが二人をドレスアップしていた。
