
徳俵に対しての所長からの自主退社の勧告は不本意の極みであった…若手の店長とはいえその類まれな環境整備する能力や人を引きつける力、きっちり期日までのタスクを細分化し1日1日であるべきことをはじき出して遂行する能力には一目置くものがあった。
しかしながら、昨今の不祥事に関する敏感さや口コミの速さを憂慮するに迅速に責任の顛末を明らかにするという危機管理能力というのはどんな経営者にとっても必須のものになっている。
あたらしくこの販売店に奨学生として赴任してきた茉莉花にとっていきなり突然こんなあるあるであり、しかも男女にまつわる不祥事絡みで自分が関係してしまったこと…そしてそのせいで一人の責任者を退職に追い込んでしまったこと…
それらの罪悪感があとあじの悪さとしてのしかかり、茉莉花にとってトラウマとも呼べる事件の一つとして黒歴史化してしまったのだ。