
袖さんは、茉莉花のチョン掛けしていた新聞を抜くことはなく綺麗に折り直していれてくれたのだ。
一瞬たりでも袖さんを犯人であると決めつけた茉莉花は袖さんの優しさをみて、自分の器量の小ささに恥ずかしくなってしまった。そんな親切な袖さんも自分の配達分を配りおえると颯爽とその商店がを走り去っていった。
時刻にして午前3時…あんまり悠長にしていると茉莉花も配達の最中であるがゆえこのまま犯人が現れないようではいいところで切り上げて配達にもどらないと遅配の連絡がきてしまう。
ちまちま早朝の犬の散歩をする老人、呑み帰りのおじさん、通行人はおれど新聞を抜くような人は現れなかった…そのまま時刻は4時近くになっていた。