
いまの自分の労働実態に関して話を聞いてもらえるということで、茉莉花は大学近くのカフェの入口で団体の役員たちを待った。
約束の時間を10分ほど過ぎた頃、理事というイメージから程遠い背丈が小さい童顔な男と、その2歩ほど後ろを歩く丸々とした大男が茉莉花の方へ歩みよってきた。
「茉莉花さんですか?」理事らしき男が茉莉花に話しかけてきた。
席に通され名刺交換を済ますと、茉莉花が話を始めるよりもさきに理事がいまの新聞奨学生の労働環境の実態を語り始めた。
「いまの奨学生というのは…」理事が話しかける瞬間、茉莉花は生唾を飲み込んで耳をすました…