
理事はそのずさんな新聞奨学生の実態を語るに、一番初めにその給与システムの闇を語り始めた。
新聞奨学生とは、大学の入学費、引っ越しや住居の確保などその付近での生活の準備、そしてそこでの生活にかかるお金…これらを家庭の事情で工面が出来ないながらもどうしても進学したい学生向けに新聞販売店の上層にあたる本社も介入してサポートするシステムである。
新聞奨学生になると、まずそれらにかかるお金の1年分を販売店が先払いで工面して、そこで労働をする学生から毎月ごとに一定額を天引きして差額を支給する…というのが一般的である。
つまり完全に尻尾を握られ、内臓を掴まれたような状態からのスタートなのである…