
理事は茉莉花がいま置かれている現状を黙ってしばらく聞きふけていた。
どうしたらまた元の区域に戻せるか…戻せたとしても店や所長との雰囲気が悪くなってしまわないか…いろんな心配が頭をよぎった。
「茉莉花さん…それでは新聞奨学生センターとして規則に則った就業をしているか茉莉花さんからの相談があったことを伏せて、直接訪店して所長に質問状を提出する形で解決を図ってみるのはどうでしょう?」
茉莉花は、自分が就業に関して奨学生団体に相談を持ちかけたことが所長に知れることが一番のネックだった…
その悩みにあって、理事の提案は茉莉花とは無縁に訪店して抜き打ちでチェックしてくれるとあって、この方法に一抹の期待を覚えた…