
「お二階へどうぞ〜」所長に2階に通すように言付けされた事務員さんが理事たちにそう伝えた。
理事たちは、こんな緊迫した場面ですら日課のような感覚で慣れた感じで靴を脱ぎスタスタと所長の待つ2階の応接室へと歩を進める。
茉莉花にしてみたら、これから先一体どうなってしまうのか?まともに仕事と大学が両立できるだけの環境を保つことができるのか…その不安で満ち溢れていた。
「所長の金満です…どうぞよろしく」先制攻撃とでもいうのか、所長は余裕をみせたいのか落ち着き払った態度で理事に名刺をややぶっきらぼうに手渡した。
理事と所長の腹の探り合いで現場の空気が音をたてるように緊張で凍りついた…