
タイムカードを見られてしまったらその区域がどれだけの配達量なのか!または辛いのか!それがはっきりと判明してしまう…所長はそう知っているがゆえに、理事からそのタイムカードの提示を求められた瞬間に頭を下げたのだ。
「今うちにいる奨学生の茉莉花たちの区域についてもしっかり適正の分量まで戻したいと思います!」さっきまで憮然としていた所長が急に丁重に業務の改善を申し出てきた。
そもそも、未来がある有望な学生の時間と体力を奪った先にあるのは、経営者の人件費削減や売上向上など資本主義的に言えば搾取の部分に充当されてしまう。
所長は、それを良心が咎めながらも半ば不可抗力であると腹を据えてやっている無念さについても淡々と口にしだした…