
いよいよ、かけるの配達デビューとなる日の朝刊の時間がやってきた。時間になると販売店のビルにあるそれぞれの階の寮からゾクゾクと従業員がおりてくる。それは、新聞業界では当たり前のように定時になると誰に言われずともぞろぞろと作業場に集まる習性みたいなものが見れるものである。
かけるは初日ということもあって、皆が集まる一時の15分前には誰もいない販売店の正面に自分の自転車を止めて待っていた。
その集まってくる従業員がくるたびに、かけるはその中に茉莉花がいるのではないかといちいちドキドキしていた。
そして…ついに茉莉花がおりてきた!「茉莉花先生!…」かけるは茉莉花に声をかけた。
茉莉花は、なぜここにかけるがいるのか!?といった驚愕した表情を一瞬見せて、その瞬間に顔をそらしかけるを無視して素通りした…